平成17~22年
昭和63年春、私は大学院の2年生で学会のため東京に居ました。池袋の街頭テレビで見たものは、快進撃を続けた宇和島東高野球部の甲子園の晴れ姿でした。初出場、初優勝で本当にうれしかったことを覚えています。その時の名将、済美高校野球部の上甲監督と今年になってお会いすることができました。好きな歌が同じ三波春夫の俵星玄蕃、監督も私も練習中、同じ猪年生まれで、誕生日が同じ6月24日、監督はO型の長男、私はA型の長男ということで、意気投合しました。上甲監督は私に「殻を破ることが大切」と言われました。甲子園に初めて出場するということが、監督にとって殻を破ることではなかったかと思います。一回出場してしまえば、その雰囲気を知る監督、生徒に引きずられて、また甲子園に行けるようになると言われました。一流になるための壁を一回突き破らなくては、一生鳴かず飛ばずで終わってしまうのです。
麻生だより1で私は次のように書いています。
「砥部病院は日本一をめざしますが、まずその前に地域の人々から信頼される病院でなくてはなりません。患者様は、我々が行っている日常の業務では感動されません。どのようにしたら患者様や患者様のご家族の方々に感動していただけるのかを考えながら、実践してみてください。一度は皆患者様や患者様のご家族から、心の底から感謝されたという体験を持ちましょう。なんとなくうれしくて、またやってしまいそうな、そんな職員の方が増えていくことが、病院の成長だと思います」
この体験こそが、この病院で必要な「殻を破る」ことではないかと思います。
当院の理念は
1.患者さんの立場に立って考え、行動する
2.最新の医療、看護、介護を提供する努力をする
3.地域の人々のニーズに応える医療、看護、介護を追求し、実践する
今よりもさらに、患者様や患者様のご家族の立場になって、考えて、行動して、感謝されて、感動されて、そのことによってこちらも涙が出るくらいうれしくて、また、仕事をしてしまう。このことが、病院の成長にとっても、皆さん方お一人お一人の成長にとっても非常に大切であることを心に留めてください。
日常の業務に流れず、流されず、常に何故、患者様がこのような状態になるのか、こんなことを言われるのか、こんなことをされるのか考えながら仕事をしてみて下さい。そして、自分なりの発見を職種を問わず、合同カルテに書いてみて下さい。この積み重ねが砥部病院が一流になるための殻を破る第一歩になるものと確信しています。
上甲監督に会いに済美高校のグランドに行ったとき、夜間照明の中で練習していた選手たちが一斉にこちらの方を向き、帽子をスゥーッと取って深々と私に最敬礼をしてくれました。すごくきれいな一連の動作で非常に感動しました。一流の名将率いる野球部は挨拶も一流であったことを付け加えておきます。
平成19年2月25日