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医療法人 誠志会 砥部病院

砥部病院
〒791-2114
愛媛県伊予郡砥部町麻生40-1
TEL:089-957-5511
FAX:089-957-5542

平成23年

2011/03/25
H23 No.1

 先日、総婦長のお父様が亡くなられました。102歳でした。天寿を全うされたとはいえ、ご本人は本当に楽になられたとはいえ、私は寂しくてなりません。お父様との思い出がたくさんあるご家族の方はもっともっと寂しい気持ちでいらっしゃることだと思います。心よりご冥福をお祈りします。  

 めぐりあいの不思議と申しますか、総婦長を広島県三原市の看護学校の高橋先生に紹介していただいたのが、平成12年の夏のことでした。「先生が徳本さんのお人柄がどうかとか、指導力がどうかとか、そんなことまったく見ることはないのよ。私の教え子の中でピカイチだから、先生はひたすら頭を下げて、お願いすればいいのよ」という紹介でした。それからどう総婦長を口説いたかは、私の院長就任10周年記念パーティーの時にお話しましたが、ベロンベロンになりながら、ひたすらお願いしました。総婦長が砥部病院に来て下さったのが、平成12年10月24日。それからいろいろなお話をしていると、総婦長が小さい頃、野村町の坂石に住んでいらっしゃったことがわかりました。私の祖父は坂石で醤油屋をしていましたので、実家に帰って総婦長の旧姓である水本さんという方を知っているかどうかを父に聞きました。すると「水本の小夜ちゃん、吟子ちゃんはお父さんの幼馴染だ」という返事でした。そこで「小夜ちゃん、吟子ちゃんを知っていますか」と総婦長に聞くと「私の姉です」と言われ、真民先生の言われる「めぐりあいの不思議に手を合わせる」気持ちでいっぱいになりました。私が総婦長にめぐりあう50年も60年も前に私の祖父が、祖母が、父が、叔父が総婦長のお父さん、お母さん、お姉さんと出会っていたのですから。  以前、総婦長のお母さんがお元気で、ご夫婦で砥部病院に入院されていた時には、父や叔父が昔の坂石時代のアルバムを持って病院に来て、坂石談義に花を咲かせていたのが懐かしく思い出されます。私の祖父が明治37年生まれ、祖母は明治45年生まれ、総婦長のお父様が明治42年生まれで、祖父、祖母と同じ時代を生きて来られた方が亡くなり、本当に寂しい気持ちでいっぱいです。祖父、祖母が亡くなってから30年、最近は思い出すことも、話題に上ることも少なくなっていましたが、総婦長のお父様が入院されたお陰で、良く思い出すようになりました。祖父は厳格な人でしたが、よく奥道後や温泉の芝居に連れて行ってくれました。祖母は優しく、いつも私の味方で、「醤油屋は継がなくていいから、医者になりなさい」と勧めてくれました。現在勉強している俳句も祖母の影響です。今、あらためて祖父、祖母に感謝しています。  

 病院で働くことの醍醐味は、人と人との出会いだと思います。入院中の患者さんやご家族からいろいろなお話を聞かせてもらって下さい。思わず手を合わせたくなる出会いをたくさん体験して、もっともっとお互いに成長しましょう。

平成23年2月25日

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