平成25年
パーソン・センタード・ケアにおける新しい文化
その1
認知症の症状は障害としてみるべきである。症状の進行はケアの質に決定的に依存する。
その2
認知症の人を一人の人間として認め、十分な知識を持っているのは一番身近にいつも居る介護者である。
医師の指示を待っているだけでは、とても信頼され、適切な知識を持つ介護者とは言えない。
その3
認知症の人に限らず、人間そのものに対する理解を高めることが最も緊急に行うべきことがらである。
について、書いてきました。
今回は捨て去るべき古い文化として「認知症の人に対しては、基本的身体ケアである、食事、排泄、入浴以外にすることはない」、取り入れるべき新しい文化その4として「ケアはその人らしさを維持し、高めていくことに関係している。身体的ケアはケア全体の一部でしかない。パーソン・センタード・ケアとは、認知症の人たちの能力を引き出し、自ら創造的な活動が出来るように促すこと、さらには、認知症の人が周囲の人のために何かをしよう、してあげようという気持ち、さらには、自分が尊重されているという気持ちを高め、伸ばすことである」を紹介します。
入院中の患者さんで、食事の準備が出来た時の放送やレクリエーションの司会を大変上手にされていた方がいました。この与えられた役割が、この方の生きがいとなっていたに違いありません。他の病院の方がセンターに見学に来られた時、一緒にエレベーターの中に入ってくる患者さんがいました。相談員さんはその方に降りてもらうのでもなく、そのまま5階にあがり、お茶やケーキを出すのを手伝ってもらいました。この非常に自然な流れにびっくりしました。これこそが、認知症の人が何かをしてあげようという気持ちを高め、その方が尊重されていると感じることができるケアだと思いました。
センターの1階には、「人間の幸福は4つに集約される。 ①人に愛されること ②人に褒められること ③人の役に立つこと ④人から必要とされること」と書いてあります。今回の新しい文化は、認知症の人の幸福度を高めてあげるケアなのだと思いませんか。この文化は職場の同僚にも、家庭内においても応用できます。いろいろな工夫をしてみて下さい。
平成25年6月24日