平成24年
先月は父親と娘の関係は難しいことがあるという話を書きましたが、父親と息子の関係もそうであります。先週、論語の会の人達と全日空のラウンジでお話をする機会がありました。そこで話題になったのが、連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の結婚式の場面です。繁おじさんが、結婚式で散々イヤミを言うのですが、それは長男が自分に反発して家を出て行った腹いせでした。「兄さんよ、言う相手間違ってねえか?ここで何を言っても倅、帰ってこねえよ」幸吉に言われて繁は肩を落として何も言えなくなりました。「・・・息子さんがどうかしたのかね?」披露宴会場でそれまで一言も喋らなかった梅ちゃんのお父さんである建造が繁に質問します。「・・・うちの倅は私に反発して家を飛び出しておりましてな。何不自由なく育てたつもりなのに・・・私よりずっと出来の悪いこの男の倅がこんなにもすくすく育っていい嫁さん貰って・・・それが・・・悔しかっただけなんです・・・」繁が泣き出すと建造は立ち上がり、繁に向かって語りかけました。「心配ないでしょう・・・うちの息子も一時は家を飛び出しておりましたが、今ではそれなりの者になっております。こんな良い女性とご縁ができて何とかやっております。梅子も私の反対を押し切って開業医になりましたが、何とかやっております。親から見れば子供はいつまでも子供ですが、いつの間にか一人前になっているものです。だからあなたの息子さんもきっと・・・」「ありがとうございます!(泣)」建造の言葉に涙を流しながら、繁は梅子と信郎を祝福したという一場面です。
日本の多くの父親たちは、この結婚式の場面に共感を覚えたであろうということで論語のおじさん達と話が盛り上がりました。
翌々日のことです。東京に住む私の学生時代の恩師からお電話をいただきました。19歳の時に父親に反発して家出した長男が16年ぶりに見つかったとのことでした。結婚して二人の子供に恵まれ、関西電力の関連会社で真面目に働いているとのことでした。事実は小説よりも奇なり、梅ちゃん先生のお父さんの言う通り、「いつの間にか子供は一人前になっている」ということを実感した一日でした。
平成24年8月20日