平成24年
昨年、松山維新の会の田坂信一先生に、お酒の会で「ブータン国王」と言われてしまいました。その当時テレビを全く見ておらず、少しだけ太って、いじけやすくなっていた私には「ブタ国王」に聞こえました。
先日、四国中央市の読書会に出席して、関前村の真城義麿住職のお話を聴く機会に恵まれました。ブータン国王が来日した時に話題となった国民総幸福量の話をされました。幸福度1位はデンマーク、8位がブータン、アメリカは23位、中国82位、日本はなんと90位でした。昔とは違って現在の日本人の「飲む」、「打つ」、「買う」は、栄養剤を「飲む」、うつ病の「うつ」、せめてもの慰めに宝くじを「買う」となってしまいました。ここ10数年間、毎年3万人の人が自殺し、うつ病の患者さんは300万人を越えるとも言われています。物質的な生活は豊かであるにも関わらず、幸福度は非常に低いということに対して、私たちは反省し、どうすれば日本国民が幸せになれるのか考えなければなりません。
幸福度の順位の低さに憤慨したのはアメリカでした。アメリカは何でも一番でなくては気が済みません。幸福とは何かを国力をあげて研究したそうです。そして、ハーバード大学のタル・ベンシャハー教授は、幸福感を得るために必要なことは二つあると結論付けました。一つは「感謝の心」、もう一つは「自分の存在意義」でした。
教授は、ハーバード大学の学生に毎日感謝するべきことを5つ、重複することなくノートに書いてもらうことにしました。3日目を過ぎる頃より学生は感謝すべきことを探し始めました。すると、当たり前と思っていたことが感謝するべき対象であることに気がつき始めたのです。幸福とは身の回りにある小さな幸せに気付くことにあったのです。
二つ目の自分の存在意義について、私が思いを馳せたのは、あのヴィクトール フランクルの言葉です。「人生に意味を問うのではなく、私たちは人生から意味を問われている存在である」ということ。「自分に課せられた使命は何か。自分を必要としている人は誰か。その誰かのために、今自分は何をしなければならないか」と自問自答するだけで、自分の存在意義は自ずと高まってくるという教えです。
身の回りのありふれたことに幸せが存在することに気付き、患者さんに必要とされ、患者さんのために何ができるかと常に考え行動する私たちはブータンに負けず劣らず幸せになれると思います。
平成24年6月24日