令和4年
令和4年もあと数日となりました。皆さんには、大変お世話になり、ありがとうございました。
今年、どんな出会いがありましたか。私は、佐々木雅美先生の「エリクソンの心理学に教えられた『幸せな生き方の道筋』」という本に出会い、ライフサイクル論を勉強し、砥部町の「青少年健全育成集会」で講演してきました。若いお母さんばかりが集まると思い、ルンルンして出かけましたが、会場には、何と60代、70代のおじさんばかりで、少し意気消沈しました。
エリクソンは、心を病んでいる人と健康に幸福に生きている人を比較検討して、人は、どのような「道筋」をたどると、健康で幸福な人生を送れるのかを研究しました。
人間の成長過程を8つの段階に分け、それぞれの段階におけるクリアーすべき課題を示しました。それを乗り越えなかった場合には危機が訪れるといいます。
人間の身体は、首がすわる 寝返りをする おすわりをする つたい歩きをすると順番に発達していきます。首がすわる前に歩くことは、絶対にできません。
同様に、心の発達にも順番があります。しかし、これは見ることができません。エリクソンは、この見えにくい、心の発達の順序を、発達課題によって、明確に示しました。
乳児期には、おっぱいを飲ませてくれるお母さんとの基本的信頼の獲得が重要です。ここで躓くと、人を信じることができなくなります。幼児期には、おしっこやうんこが自分で、できるようになり自律性を身につけます。児童期には、友達との自由な遊びを通じて自主性をはぐくみます。ここで躓くと、自分でやりたいことを見つけられない子になります。学童期には学校で勤勉性の基礎作りを行います。思春期・青年期には、自分とは何者なのか、というアイデンティティーを見出しますが、ここで躓くとひきこもりやニートになります。成人期には、友人や恋人と親密な関係のもと、仕事や結婚、子育てを行います。壮年期になると、次世代に貢献しようと考え、人生をより豊かにする力が備わります。自分のことばかり考える人に、良い老後は訪れません。老年期は、人生の統合が発達課題となります。これは、自分の人生を振り返って、「いい人生だった」と確信をもって自分を受け入れる力のことを言います。
今、子育てをされている皆さんにとって、発達段階ごとの特性や課題を学ぶことは大切です。不登校、いじめ、引きこもり、ゲーム依存などの危機を防ぐためのサポートの仕方を知ることができます。また、自分自身についても、自分がどの発達の段階にあって、自分が何を乗り越えなければならないかを明確に示してくれます。
認知症のバリデーションの本には、老年期になって、今までにクリアーできなかった課題が押し寄せて来て、心の混乱を招くと書いてあります。皆さんにおかれましては、平穏な老後を迎えるために、是非エリクソンの発達心理学を学んでいただきたいと思います。
佐々木雅美著、相田みつを書の「育てたように子は育つ」もおすすめです。
どうぞ、良いお年をお迎えください。来年もまた、よろしくお願いします。
お互い、健康で、明るく、楽しい年にしましょう。
令和4年12月24日