令和4年
ウクライナは、今、危機的状況下にある。ウクライナの歴史を紐解くとヨーロッパにおける戦闘の、いつも中心に置かれていたことがよくわかる。
紀元前7世紀、黒海の北側に位置する現在のウクライナの土地には、スキタイ人と呼ばれる遊牧民が住んでいた。7世紀になって、農耕民族であるスラブ人が移民し、キエフ・ルーシ大公国を樹立した。この国こそが、ウクライナとロシアの起源であり、後継者問題で多くの公国に別れた。その一つがモスクワ公国である。
本家は、ウクライナのキエフ、モスクワはその分家ということになる。しかし、後にモスクワ公国が力を増し、「ルーシ」を語源とする「ロシア」帝国が、自国を「大ロシア」、ウクライナを「小ロシア」と称して、支配下に置いてきた。
ロシア(大ロシア)、ウクライナ(小ロシア)、ベラルーシ(白ロシア)は三位一体でなければならない、という思想がプーチンの頭の中にある。
1812年のナポレオンのロシア侵入、1853年のクリミア戦争で、ウクライナは焦土化した。ソビエト連邦下では、集団農業が行われた。ウクライナの穀物はロシアに調達され、国内では餓死者が続出、ウクライナ独自の文化も破壊された。第二次世界大戦では、ナチスドイツがソ連を攻めた。ウクライナには多くのユダヤ人が住んでおり、約90万人がナチスによって虐殺された。また、ソ連がウクライナから撤退する時、焦土作戦が取られ、ウクライナの街は焼け野原となった。1991年ソ連崩壊とともに、ウクライナは独立、350年ぶりの悲願が達成できたのだが、再び戦場と化している。
今後世界はどうなるのだろう。決して対岸の火事では済まされない。第三次世界大戦、核戦争、生物兵器、化学兵器の使用による地球規模の危機は何としても避けなければならない。心あるロシア人が集結して、もう一度ロシア革命を起こし、プーチン政権を終わらせ、民主国家に生まれ変わってほしいと思う。
言志四録に、「太上は天を師とし、その次は人を師とし、その次は経を師とす」とある。最上の人は天地自然の真理を師とする。その次の人は、人を師とし、その次の人は、経(書物)を師とするという意味である。これが、私にはやっと理解できた。
プーチンは、ピョートル大帝を師とし、ロシア側から書いた歴史の書物によって、イデオロギーや固定観念にとらわれ過ぎている。坂村真民先生は、「宇宙の眼差しをもって、母なる星地球を平和で幸福な星にして欲しい」と願っていた。これこそが天を師とすることなのである。世界の指導者は、すべからく天を師としてもらいたい。
令和4年3月24日