令和2年
大都市での新型コロナウィルス感染症が収束の兆しを見せている中、牧病院において、集団発生が確認されました。とても他人事とは思えず、身が引き締まる思いがしております。
感染経路については、未だに確認されておらず、私たちも、警戒を緩めるわけにはいきません。
砥部病院では、病棟内へは、面会者、業者の立ち入りを制限していますから、院内集団感染が発生するとしたら、発生源は、1.新入院患者 2.病棟に勤務するスタッフの2者に限定されるかと思います。従って、院内感染対策はこの2つに集中されるべきです。
1.新入院患者においては、福岡の病院で、脳出血で緊急入院した患者さんが新型コロナウィルスに感染していて、院内感染が生じたことを教訓にすべきです。新しく入院した患者さんを個室管理にして、標準予防策を講じることについては、すでに通達した通りです。
2.病棟勤務のスタッフにお願いしたいことは、自分自身が感染源にならないことです。もし、風邪気味で、咳やくしゃみ、発熱、下痢、筋肉痛があれば、病院を休んでください。普通の風邪なら、3日目には快方に向かうはずです。風邪を治すお薬はありませんから、ゆっくりと自宅で療養してください。病状が消失して48時間経てば、出勤可能です。
4日目を過ぎても、強い全身倦怠感や発熱が続き、筋肉痛、下痢、味覚や嗅覚障害があれば、新型コロナウィルス感染症を疑います。砥部病院に電話してから、来院してください。
牧病院の報道を見ていますと、最初に新型コロナウィルス感染症を発症した人が、感染源であるかのように受け取られていますが、決してそうではありません。感染しても症状がほとんどない人もあり、その人がウィルスをバラまいていることも十分に考えられます。非難の目が、最初の人に向けられるような、犯人扱いするような風潮には問題があります。
敵は、新型コロナウィルスであって、人ではありません。罪を憎んで人を憎まずという言葉があるように、「コロナ憎んで人を憎まず」と、同僚を思いやる環境作りが重要です。休みにくくなるような雰囲気には絶対しないでください。お互い様なのですから。
そうでなければ、新型コロナウィルスに感染していても、自分の体温をごまかし、体調不良を口に出さず、病棟勤務を続ける人が出てきます。そうなれば、院内感染は瞬く間に拡大し、患者さんは亡くなり、病院の機能そのものも崩壊することでしょう。
これくらい大したことないからと、病院に無理して来ることはやめてください。他のスタッフに迷惑がかかるからと、体調が悪いのを隠して出勤することは厳に謹んでください。体調不良を感じたその時に、早目に、師長に連絡や相談をしておいてください。
新型コロナウィルスは、入院中の患者さんの命を奪うのみならず、私たちの命も危険に晒します。40度近くの発熱、ハンマーで殴られた時のような頭痛、キリで肺を突かれたような咳の痛み、死ぬかもしれないと思う息苦しさを味わいたくなければ、今後とも、三密(密閉、密集、密接)を避けて、自粛生活(今後はこれが標準的生活)を続けてください。
令和2年5月25日