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医療法人 誠志会 砥部病院

砥部病院
〒791-2114
愛媛県伊予郡砥部町麻生40-1
TEL:089-957-5511
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名誉院長の麻生だより

2018/12/27
平成30年 No.10 1年間の感謝を込めて

 この1年間ありがとうございました。皆さんの中には病気と闘いながら、また怪我を押して患者さんのためにご尽力いただいた人もあり感謝しています。
 12月6日の中予保健所の立入検査は特に指摘されることもなく、ほめられることばかりで、無事終了しました。講評の時には、各病棟師長にも集まっていただきました。三木優子中予保健所長より「今後とも地域医療に重要な役割を担う病院として頑張ってください」と、優しく、ありがたいお言葉をいただきました。これもひとえに、皆さんの努力の賜物と感謝しております。
 大相撲九州場所で初優勝した小結貴景勝は、母校の生徒約3000人を前に「相撲部の3年間で一番印象に残っているのは『一寸先は闇』という言葉」と語りました。私は、まさにこの言葉通り「一歩先から闇に転じる」体験をしました。
 12月13日、日赤の病室で目を覚ますと天井がぼんやりと見えました。ベッドの上であらためて、12月9日、私が縁側の老朽化した板を踏み抜いた時のことがフラッシュバックします。一瞬のことでした。左脚が縁側の板の間にはまり込み、上体はバランスを崩して庭側に倒れました。膝関節が固定されたままで、体が左方向にのけぞったような形で倒れ、頭は庭の土の上にありました。
 しばらく身動きがとれませんでしたが、必死の思いで体を起こし、左脚を引っこ抜きました。立とうとすると、左膝がグニャリとして激痛が走り、日赤を受診すると関節面が骨折して凹んでいるとのことで手術したという次第です。
 左膝関節内側靭帯は極限にまで伸展され、左大腿骨外側上顆が左脛骨の外側顆を砕いたということになります。これを「てこの原理」で考えてみました。左膝関節内側靭帯を支点、大腿骨外側上顆が脛骨の外側顆を圧迫する所が作用点、力点は体幹の重心となります。支点から作用点までの距離が5cm、支点から力点までの距離が100cm、ここに体重60kgがかかるとすると、60×100/5=1200kgの力がかかり、脛骨が粉砕されたのだと妙に納得してしまいました。
 西郷隆盛は、1133箇条ある『言志四録』から101箇条を選んで人生のいましめにしています。この中に「晦(かい)に処(お)る者は能(よ)く顕(けん)を見る。顕に拠(よる)者は晦を見ず」とあります。
 暗闇(晦)から明るいところ(顕)はよく見えるけど、明るいところから暗闇の中はよく見えません。つらく苦しい状態にいると人の悩みや苦しみがよく見えるけど、調子が良いときには、人のつらい気持ちにはなかなか気づきにくいものです。つらい思いをしている人の気持ちをいつも考えられる人になりたいと思いつつ、私は暗闇に身を置き、車椅子で砥部病院内を徘徊しています。

                     平成30年12月24日 本館2階207号室にて 砥部病院院長 中城 敏

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