名誉院長の麻生だより
今年、私は松山南高の同窓会長を拝命しました。中村文昭の人間力を造るための4つの鉄板ルール1)返事は0.2秒、2)頼まれごとは試されごと、3)できない理由は言わない、4)今できることをする、がすっかり身についてしまった私は、0.2秒で引き受けた次第です。
昨年、南高同窓会の会長より、「次期松山南高の同窓会長を引き受けてもらえないか」と打診があった時、「ははん。私のことを試されてますね。よっしゃ、会長が予測している同窓会運営のひとつも、ふたつもランクが上の、楽しい同窓会にしてみせましょう」と心の中でつぶやく自分がいました。
同窓会のふたを開けて、びっくりしました。同窓会誌「南の風」を2号まで出しているのですが、これで270万円の赤字を計上しています。出鼻をくじかれた形での出発となりましたが、「南の風」編集委員会で広告を取ることが決定され、この夏、皆で手分けして広告を集めることにしました。
私の担当は愛媛銀行でした。本田元広会長に「松山南高同窓会長就任のご挨拶に参ります」とアポイントメントを取って、愛媛銀行本店に行きました。
きれいな秘書の方に、「どうぞこちらへ」と通された応接間は広く、そわそわして、お茶を飲んでいました。そこに、本田会長が入って来られました。
ご挨拶して、広告の話を切り出した途端に「お前は挨拶に来たんじゃなかろうが、広告を取りに来たんじゃろう」と言われ、「20万は高い」と一言、広告の話は終了しました。
このまま帰ることはできません。別の話題にしました。「銀行員と医者とは、学者じゃないといけませんね。銀行員は経済、金融工学などの学者」と言うと、「わしの銀行に、勉強なんかしよるやつはおらん」と一刀両断に切り捨てられ、どうしようかと苦し紛れに「芸者」と口にすると、パクっと食いつかれました。
「そうじゃ、芸者になることが大事じゃ。わしは男芸者をしとる」
さらに、「小心者」の話をして、「小心者こそが、銀行を救う」と意気投合。帰り際に「広告の話は、またしとくけん」と言われ、銀行を後にしました。
「やれやれ」と車に乗って、愛媛銀行本店の横で信号待ちをしていると、本田会長から電話があり、「広告ええよ。出そうわい」。私が「広告代高いんじゃないですか」と聞くと「そのままの値段でええよ」と言われました。
担当者の方からの電話では、「会長は先生が部屋を出られてから、すぐに動かれました」と聞き、余談、雑談の効果とともに、松山南高の先輩はありがたいなと心の底から感じた次第です。
平成30年10月24日