名誉院長の麻生だより
人はただ生きているだけでは、何の意味もありません。働いてはじめて生きがいを感じるのです。働いている時が、本当に生きている時なのです。
仕事のない時ほど、つまらないことはありません。定年退職してのんべんだらりと過ごす人が短命であることは、よく知られています。退職しても、家業に農業があり、一生懸命に田や畑で仕事をする人は認知症にもならず、健康で長生きします。
生涯現役と決意して、働き続ける総師長は美しく、健康で、声にハリがあり、お肌のツヤも良く、背筋も膝もピンと伸びて、毎日が楽しそうで、輝いています。
私たちの今ついている仕事の尊さを自覚して、一生懸命に働く時、声のハリ、肌のツヤは自然についてきます。働きそのものが、何物にも変えることのできない、人生の喜びなのです。
仕事上の人間関係にはストレスを伴います。私はこんなに仕事をしているのに、あの人は患者さんとお話しばかりして、仕事をしていないと思う人がいます。たしかに、忙しい時に協力し合って仕事を終わらせることは重要なことですが、患者さんの話をよく聞くのも大切な仕事の一つだと考えてあげることはできないでしょうか。
大切なことは、人と比べないことです。人は人、自分は自分、それぞれに持ち味があり、精一杯頑張っているのだと自分に言い聞かせましょう。あの人は仕事しないから、一緒に仕事をするのは嫌だなどと思わないことです。
「大地黄金」という禅語があります。自分が置かれている場所で、精一杯力を尽くせば、その場所が黄金のように輝いてくる、という意味です。「黄金の大地」を探して転職する人がいますが、そんなもの最初から存在するわけがありません。自分が作るものなのです。
稲森和夫は「天職とは、出会うものではなく、自ら作り出すものである」と言っています。今与えられている仕事に一生懸命取り組んで、それを自分の「天職」にまで高め、砥部病院を皆さんの「黄金の大地」にしていただきたいと思います。
平成29年2月24日