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医療法人 誠志会 砥部病院

砥部病院
〒791-2114
愛媛県伊予郡砥部町麻生40-1
TEL:089-957-5511
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平成17~22年

2010/08/18
No.8

 学生時代、上原先生の九州大学医学部の同級生、平田弘先生の広島の家に遊びに連れて行ってもらったことがあります。夜景が大変きれいで、大酒を飲んで、平田先生といろいろお話をしておりました。ゲーテの詩の一節「憧れを知る者のみ、我が悩みを知らめ」で一挙に意気投合し、グデングデンに酔っぱらったことを昨日のことのように思い出します。平田先生は当時広島日赤の泌尿器科部長をされていました。私が内科医となり、三原の病院に赴任した時、山芋掘りにご夫婦で来られたこともあります。  

 それからしばらく経って、播種性血管内凝固症候群(多くの場合、敗血症や癌などの基礎疾患に合併して、全身の血管の中で血液の凝固が生じ、それを溶かす方向に生体が反応するため、出血傾向になるという恐ろしい病態でDICと呼ばれている)の患者さんを、三原から広島日赤血液内科に紹介することになりました。許先生という方が電話に出て下さいました。「純粋なDICなら引き受けるが、基礎疾患が見つかったらあなたの病院に帰ってもらうよ」と言われました。すぐに病院の救急車で広島日赤に搬送、片道一時間半かかりました。許先生にお会いしてお願いし、日赤を出ようとした時、平田先生のことをふと思い出しました。平田先生にもご挨拶をして帰ろうと、連絡を取ってもらって待っていると、平田先生は上機嫌で上の階から降りてきて下さいました。患者さんを許先生にお願いしたことをお話すると、「許君には僕からもよろしくと言っておいてあげるからね」と言って下さいました。自分の病院に帰って「やれやれ」と思っていると、広島日赤の許先生から電話がありました。少し興奮したような声で「先生はどうして平田先生のことを知っておられるのですか。平田先生は今日、病院長になられました。病院長からよろしくと言われました」とのことでした。ものすごくうれしかったことを覚えています。どこにご縁があるかわからないと感じました。  砥部病院に来てからも平田先生は度々上原先生の長浜の家に来られ、その度に「中城君、佳代ちゃん、ものすごくいいワインを持ってきたよ。今すぐ飲みに来なさい」というお電話を下さいました。平田先生と一緒に飲むとすごく楽しいし、いつもあの上機嫌はどこからくるのだろうかと思っていました。つい先日の2月13日「上原先生の喜寿を祝う会」に、広島からわざわざ来て下さり、平田先生と一緒に楽しいお酒を飲んだばかりでしたが、2月17日心肺停止状態となられ、22日にお亡くなりになりました。77歳でした。残念で、残念で、寂しくて、寂しくてたまりません。会の翌日広島に帰られる前に「中城君楽しかったよ。ありがとう。佳代ちゃんによろしく」とお電話をいただき、それが最後のお声でした。「一期一会」という言葉が今、私の心に重くのしかかっております。

平成22年分より

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