名誉院長の麻生だより
「お疲れさまです」と言われた時、私は心の中で「自分は疲れていない。疲れていない」と自分に言い聞かせます。
「お疲れさまです」を英訳するとGood job.(良い仕事をしてくれてありがとう)帰宅する時ならHave a nice evening.(楽しい夕べをお過ごしください)となり、この英語の中に「疲れる」という否定的な単語は含まれていません。
私が研究生活をしていた時「そもそも仕事は喜びであって、疲れるものではない」と上原康生教授から教わり、「お疲れさまです」という言葉は禁止されていました。仕事は楽しんで行うものであり、そうしなければ、良い成果を得ることはできないという教えでした。
「すべての疲労は脳が原因」という本に、運動疲労の正体は「自律神経中枢」の疲労であり、大脳辺縁系と密接に関連していることが書いてあります。大脳辺縁系とは人間の本能を司り「快」「不快」を記憶しているところです。どんなに過酷な労働環境にあろうとも、大脳辺縁系の偏桃体のスイッチを「快」に切り換えておけば「自律神経中枢の疲労」を感じることはないといいます。
「ツキの大原則」の著書西田文郎は、北京オリンピックで金メダルを獲得した女子ソフトボールチームのメンタルトレーニングを行ったことでも有名ですが、この西田氏も大脳辺縁系に存在する偏桃体を「快」に切り換え、「仕事は楽しい」と思い込んだ人(自分の脳をだました人)がツイている人で、成功者なのだと言いきります。
介護職の人員不足で仕事が大変であることは重々承知していますが「忙しい」と思い込むのはやめましょう。「忙」とは心を亡くすと書きます。また「お疲れさまです」のあいさつも「こんにちは」などに変えましょう。否定的な言葉は偏桃体に「不快」のシグナルを送り、自律神経中枢を疲れさせるからです。介護職員募集には全力をあげています。みなさんも周りの人に声をかけてみてください。
世の中に楽しいことはたくさんありますが、地味で素朴ではあるけれど、ますます高くなり深まっていく喜びは、働くことによってしか得られません。笑顔を絶やさず喜んで働くのも、いやいやながらブスッとして働くのも同じ一日。疲れを感じない、自分自身を高める考え方、働き方をしていただきたいと思います。
平成28年6月24日