平成17~22年
私の入院生活は、「ピカチュウ」と「クレヨンしんちゃん」三昧でした。初日、まだあどけなさの残るかわいらしい看護師さんが、「中城先生」と言って私の病室に入ってきました。「あなたに中城先生と言われる覚えはない」と心の中で呟いていると、「松看で解剖生理学を教えてもらいました」。「今からなにかするの」と言うと、「おしりの毛を剃らせていただきます」これには参りました。「もう一人先生の教え子がいますから、あとで呼んできます」と言われ、「呼んでこんでええ!」と心の中で叫びました。ストレッチャーに乗せられ、新しくて立派な手術室できれいな看護師さん二人に迎えていただき、手術台の上に移され、腰椎麻酔をされると、下半身の感覚がまったく無くなりました。手術が始まり、最初はおしりの方で何か相談している二人の外科医の話を聞いていましたが、ついつい眠ってしまいました。夜中になって、下腹部がパンパンに張っているのに気づきました。尿瓶を渡されましたがまったく出ません。やむなく導尿してもらいました。明け方になってまた尿意を催しました。大分下半身の感覚が戻っていたので、今度は尿瓶で取れると思い横になって頑張ってみましたが、まったく出ません。腹圧をかければ出るのではないかと考えトイレに立ちました。尿道に尿が入ってきてプクプクと膨れ、ズキンという痛みがきました。夜中の導尿で尿道が傷ついたのだと思いました。下腹部はパンパンに張っているのに尿は2、3滴しか出ません。蛇口をひねって水を出し、その音を聞きながら精神を集中してやっと尿が出ました。便が出る時はもっと悲惨でした。ズキンズキンという痛みで、肛門を二ヶ所切っているわけですから、「ピカチュウ」の顔の形で便が絞り出されます。ウミガメの産卵の時のように涙が出ました。便のあとは、ヒビテンの入ったお湯でおしりを洗い、病室でおしりを出して看護師さんに消毒をしてもらいました。いろんな看護師さんが来るたびにおしりを出して「クレヨンしんちゃん」をしていました。
みなさんに再度お願いがあります。おしめ換えの時、便は優しく洗い流し、おしりは拭くのではなく、優しく押さえるようにして水分を取ってあげて下さい。
先日90歳のおばあちゃんが、ふらついてお湯を自分の足にこぼして火傷を負われました。後日またふらついて今度は頭を打撲、近医で縫合してもらいました。よくよく話を聞いてみると、その2、3日前におしりから出血があったそうです。極度の貧血によるふらつきでした。肛門鏡で見ると6時の方向に立派な内痔核がありました。「僕の主治医を紹介するけんね」と言って渡辺医院を紹介しました。「これで僕たち痔仲間じゃがね」こう言われてまた涙が出ました。砥部病院を受診して下さる仲間のために、また頑張ろうと新たな決意をした今日この頃であります。
平成22年分より