平成17~22年
砥部病院の院長をお引き受けして、10年という月日が瞬く間に過ぎてしまいました。一番の思い出は何と言っても徳本総婦長に出会った時のことです。就任10周年記念納涼会でその一部始終をお話しましたが、この時ほど真剣に真摯に大人の女性を口説いたことはありません。
今日まで総婦長、事務長と試行錯誤の病院経営を行ってきました。砥部病院のあるべき姿がやっと見えてきたような気がします。
一つ目に砥部病院は、地域の人々に尽くす病院でなければなりません。砥部病院を信じて、砥部病院を頼って来てくださる地域の人々に良い医療、看護、介護を提供します。
二つ目に砥部病院は、地域の急性期医療を支えなければなりません。県内の特定機能病院は松山地区に集中しています。急性期の医療は終えられたけれど、在宅で家族が診ることは難しいという人を積極的に受け入れ、特定機能病院のベッドを有効に使うことに貢献します。先日は愛媛大学医学部救急部の相引教授に招かれ、救急セミナーで講演してきました。この時、「先の新型インフルエンザ流行時、最前線で愛媛病院の岩田副院長、阿部呼吸器科部長が奮闘されている姿を見て感動し、人工呼吸器5台を購入してその後方支援に備えた」と申し上げました。新型インフルエンザは今振り返ると重症化することはほとんどなく、砥部病院では呼吸器をもてあましているに違いないと、会場から笑いがおこりましたが、懇親会の席では、いろいろな特定機能病院の先生が私のまわりに集まってくださり、呼吸器が外せず行き場をなくした患者さんの受け入れを是非砥部病院にお願いしたいと申し出がたくさんありました。その時すでに呼吸器は4台稼動していましたが、お役に立てるなら何人でも受け入れる旨お話しました。
三つ目に砥部病院は認知症の患者さんを絶対宙に浮かさないようにしなければなりません。私たちは、日頃の医療、看護、介護を通じて認知症の患者さんのことを、他のどの病院の職員よりも理解しています。内科的疾患であれば、砥部病院で認知症のケアも含めてきちんと治療ができます。手術が必要であっても、砥部病院が後ろ盾となることを約束すれば、その病院の外科の先生は安心して手術して下さいます。認知症の患者さんやご家族は砥部病院の存在を大変喜ばれています。 以上三つの大変重要な役割が砥部病院に課せられています。この三つの砥部病院の存在意義のうち、今自分はどの部分の仕事をしているのか考えてみて下さい。皆様お一人お一人の存在意義もまた、輝いてきます。
平成22年分より