名誉院長の麻生だより
避難訓練と緊急脱出訓練は全く違います。
半年ごとに行われる火災訓練は避難訓練と呼ばれていますが、実際は緊急脱出訓練です。初期消火をいかに迅速にして、患者さんをスムーズに誘導、脱出させるかという訓練です。
避難訓練は、火災を出さないことに重点がおかれます。火が出るところは厨房、タコ足配線になっている電気のプラグですから、日常の注意を集中的に向けておけば、火災から避難できます。
窒息事故も同様に考えることができます。窒息事故の避難訓練は、
1.窒息しそうな人をあらかじめリストアップしておく
職員間でその情報を共有すること
2.その人の食事の形態が今のままで良いかを考える
ソフト食、キザミ食への変更
3.食事の時、窒息しそうな人の席を食事介助の必要な人の近くに置いて、職員が観察できるようにする。
窒息事故の緊急脱出訓練は、言うまでもなくハイムリッヒ法(腹部突き上げ法)と背部叩打法です。
ハイムリッヒ法(腹部突き上げ法)
1.後ろから両腕を回し抱えるようにする
2.片手で握りこぶしを作り、みぞおちの下に当てる
3.その上をもう一方の手で握り、上方に向かって圧迫するように素早く突き上げる
みぞおちを締め上げると、肺から息が漏れ出ようとする流れで、詰まった食べ物を口の外に押し出すイメージです。
背部叩打法
1.救護する人はひざまずいて、対象者を自分の方に向けて側臥位(横向き)に寝かせる
2.手の付け根で肩甲骨の間を力強く何度も連続して叩く
窒息した患者さんのそばに居る人、誰でもかまいませんから、迅速にこれらを行いながら、大声で助けを呼んでください。
掃除機を使う吸引チューブも各階に備えておきます。
平成27年8月24日