名誉院長の麻生だより
徒然草188段に「若いうちは何につけても、まずは身を立て、大いなる目的をも達成し、技芸を身につけて、学問を修めようと、長い将来をあれこれと計画しているものだ。だが、まだまだ人生は長いと思ってやるべきことを怠けていると、差し迫った目の前の仕事に紛れて月日を送り、何事も達成できないままに身は老いてしまう。最後には、何の道にも精通せず、思い通りに出世することもできず、それを悔いたところで取り返しのつかない年齢になっており、ただ坂道を転がる車輪のように衰えていくだけである」と書いてあります。皆さんも、まだまだ若いと思っていても、歳を取るのは「あっ」と言う間です。この言葉を噛みしめて、人生の計画をしっかり立てて、それが成就するように頑張ってください。
若い看護師さんが、一度は外の病院で働いてみたいという気持ちはよくわかります。その時は、必ず目標を掲げて前に進んでください。目標も持たず、他の病院に行っても、手をこまねいているだけなら、その人の人生は、用意されたものだけで構成されるぬるま湯に漬かったような、低調な人生となってしまいます。他の病院に行けば明るい未来が待っていると思うだけなら、やめたほうがいいでしょう。大きな病院の組織の中で自分の個性を生かすことなく、歯車のように働くようになります。もっと患者さんの傍に居たいのに、コンピュータの打ち込み、書類作成、会議などが多過ぎて何のために看護師になったかわからないと思うようになるでしょう。だから、「目標」に対して努力を惜しまず、積極的人生を歩んでいくという覚悟が大切なのです。
目標と目的は違います。砥部病院で言えば、目的は「今目の前に居る患者さんに喜んでいただけること」であり、目標はそのために自分に何ができるかという技術や知識を修得することです。ここで忘れてはならないことは、目標には期限が必ずあるということです。
砥部病院で働く皆さんも、期限を区切った目標を持って頑張ってください。砥部病院はまだまだ進化の途中です。一度は外を見たいと出ていった職員を暖かく迎える寛大さも持ち合わせています。
やり残したことを後悔しても取り返しのつかない年齢になっているお年寄りになる前に「目標とは意志」と肝に銘じて、お互い自らの殻を破ろうではありませんか。
平成26年2月24日