名誉院長の麻生だより
ノロウィルス感染症の恐ろしさを忘れないでください。数年前砥部病院を襲ったノロウィルスの院内感染。始まりは、ノロウィルスに感染した子供を持つ看護師さんが経管栄養の準備をしたことにありました。それ故、朝出勤したら、第一に手洗いをすること、手洗いをしてから患者さんのところへ行くことと決めてあるのです。自分に症状は無くても、家庭内に嘔吐、下痢の症状の有る人が居たら、必ず報告して、そのスタッフは、患者さんの口に入るもの、食事、薬、経管栄養の準備に携わらないようにと決めてあります。朝、全員に家庭内の嘔吐、下痢の人が居ないかどうかを聞くようにしたのも、このことからなのです。本人に嘔吐または下痢の症状があった場合は、言うまでもなく、出勤停止です。この時約束したことは、必ず内科を受診していただくことでした。「嘔吐したので、今日は病院を休みます」という電話のみの欠勤は許可しません。何故か? もし、その嘔吐が、ノロウィルス感染によるものなら、患者さんの命にかかわることになるからです。きちんとした診断が必要です。症状が消失してからも、さらに2日間は自宅待機とし、その後もノロウィルスは体内に留まっていることを自覚して、トイレ使用後はハイター消毒を 1ヶ月間自分で行ってください。
京都市伏見区の蘇生会総合病院の集団感染は101人、砥部病院の院内感染は平成19年が98人、昨年が82人と、いつ報道されてもおかしくない状況にありました。もう一度言いますが、ノロウィルス感染症の恐ろしさを忘れないでください。目に見えない敵と戦うことは大変です。予防することが第一なのです。砥部病院で一人の職員からノロウィルスが感染していったこと、職員が院内感染の媒介をした事実を決して忘れてはなりません。
松山市の石井東小学校では、インフルエンザが集団発生しています。マスク、手洗いが大変重要になってきます。この場合、学校は登校時間を1時間遅らせます。睡眠時間を確保するためです。ウィルスに負けない体作りは睡眠をよくとること、家族を含めた正直な体調報告です。
情報の共有化には3つの深度があります。深度1は全員が事実を把握する。深度2は何故それをしなければならないかという意味の共有化。深度3は考え方、波長の共有化。それが共感、連帯感を生む組織の力が発揮されます。職員全員が波長を合わせてウィルス感染に立ち向かうことが今、何よりも大切です。
平成26年1月24日